僕の父親はコックリさん
 こくこくと頷いて歩き出す。チラリと振り向くと狸がのそりと立ち上がっていた。二足歩行で、右手に徳利、左手に通帳を持っていて、歩く度に玉袋が揺れる。
 けれどその様子はどこかおかしい。右足を引きずっているようなのだ。それに気がついた妖は思わず立ち止まって狸をマジマジと観察してしまう。
「帰らないの?」
「あ、あぁ」
 半端に返事をして歩き出す。そうするとやっぱり狸はついてくる。ずるっずるっと痛そうに足をひきずりながら。
「じゃあ、私こっちだから」
 十字路までやってきて加奈子は手を振って掛けていく。その後姿を見送ったあと妖はまた振り向いた。狸は付かず離れずで一定の距離を保って妖についてくる。
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