僕の父親はコックリさん
 最後に母親が優しく声をかけると狸は勢いよく立ち上がった。そしてその場でジャンプして確認している。さすがにそんなに早く回復はしないだろうと思ったが、これも優しさが持っている治癒力なのだろう。
 狸は何度も何度も振り向いてお辞儀をしながら帰っていった。
「妖が助けてくれると思ってついてきたんだろうな」
「そうだったんだね」
 てっきり怖い妖怪だと思ってしまったことを今更ながら恥じた。狸は怪我を直してほしくて、自分の前にもはっきりと姿を見せたのだ。
「あなた。もう時間が」
 腕時計を確認して母親が焦った声を漏らす。
「あぁ、そうだな。じゃあ行ってくるから、留守番たのんだよ」
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