僕の父親はコックリさん
 父親の大きな手が妖の頭をポンッとなでたのだった。

「妖!!」
 ハッと息を飲み込んで目を開いた。一気に現実に引き戻される。妖の腹の上には力士に変化したキツネが乗っていて、黒羽は経を唱えて残り四匹のキツネの動きを止めている。
 名前を呼んだのは志門だ。
「なぁ……昔、狸の治療をしたことを覚えてるか?」
 苦しげな喘ぎとともに妖が尋ねる。
「今そんな話をしてる場合か!」
「思い出したんだ。妖怪って結構可愛いところもあるって」
 腹の上に乗っているキツネはあまり可愛くないけれど、あのときの狸は確かに可愛かった。可愛いと感じることができた。
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