僕の父親はコックリさん
 そこまで言ったところで玄関チャムが鳴り響いた。香がハッとしたように顔を上げる。その表情には明かりが差し、志門が帰ってきたのだと言いたげだった。
 黒羽は思わず視線をそむけて黙り込む。どれだけ期待しても志門は戻ってはこない。その言葉を飲み込んでしまった。
 香が弾むような足取りで玄関へ向かう。
 その様子を胸が引き裂かれる思い出見つめる黒羽。
「獣の匂い」
 妖がぽつりと呟いた。しかし黒羽にも洸平にもなにも匂いは感じられない。
 黒羽が妖へ視線を向けるのとリビングのドアが勢いよく開かれたのはほぼ同時だった。
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