元カレは、今も私をミケと呼ぶ
「ちょっとごめん」と言って、陽太がスマホを取り出して画面を見つめる。
何かを確認するように指を動かすと、すぐにポケットにしまった。

口元が緩んでいる彼に、『誰かとやり取り?』と聞きたくなったのを飲み込む。

あれは、良いことがあったときの顔。

だから、彼の口からでる言葉が少し怖いと思った。

(何も聞かない)

なのに。

「……で、陽太の方はどうしてここに?」

頭の中で思うことと、逆のことをしてしまう。

ここが彼の最寄り駅なのかもしれない。
それか、スマホをいじっていたことと関係するような話かもしれない。

知りたくないような答えだったらどうしよう。

だったら、何で聞いてしまうのだろう。

「これから泊まりなんだ」

あっさりと返されて、分かりやすく胸が重くなる。

(ほら、だからやめておけばいいのに……)

どこを見ていいか分からなくて、視線を落とした。


こんなことも、
聞くべきではない――

もう恋人じゃない私が、聞く権利なんてないのに。

自分でもそう、よく分かっているのに。

「それは……女の人……?」

スマホをしまったポケットをチラチラ見ながら、思わず口にしてしまう。

(もう……!)

自分に軽く苛立ってくる。
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