僕らの青春創作日記
あれから何分経ったのだろう。
1時間くらい経った気がした。
そう思って時計に目を向けると、まだ5分しか経っていなかった。
心臓がどくどくと脈打つ。
息が浅い。
吐き気がする。
もう帰ろう。
そう思って立ち上がろうとした、そのときだった。
廊下の向こうから声が聞こえた。
聞き慣れた声。
楽しそうな声。
__すごく嬉しそうな声だった。
次の瞬間。
「鈴夏!!」
名前を呼ばれて、体が強張る。
結果を聞かなくてもわかった。
いや、聞きたくなかったのに。
二人は私の前に来ていた。
純恋ちゃんは、息を弾ませながら笑っていた。
今まで見たことがないくらい、満面の笑みで。
「成功した」
囁くみたいに、でも抑えきれない声で言う。
「付き合えた」
その言葉で、全部が終わった。
わかってた。
わかってたはずなのに。
何に絶望しているのか、自分でもわからなかった。
何に悲しんでいるのかもわからない。
ただ、胸の奥がぐちゃぐちゃだった。
なんで。
なんで私は、こんなに苦しいんだろう。
なんでこれが夢であってほしいなんて思ってるんだろう。
ネガティブな感情が、心の中をぐるぐると渦巻いていく。
逃げ場がない。
「___鈴夏が協力してくれてたんだってな」
遼くんの声で、はっとする。
顔を上げると、遼くんはいつもの少し大人びた笑みを浮かべていた。
でもその表情は、前と違っていた。
そこには確かに“嬉しさ”があった。
「そのおかげで、こんな可愛くていい子が俺の彼女になってくれた」
「ありがとうな」
そう言って、微笑む。
あの時と同じ笑い方なのに。
もう私に向けられることはない笑顔だと、なぜかすぐにわかった。
その瞬間、目頭が熱くなる。
喉の奥が焼けるみたいに痛い。
息がうまくできない。
二人の顔を見るのがつらかった。
「……それは、良かった。お幸せにね」
声が震える。
本当はもっと違う言葉を言いたかったのに。
何も出てこなかった。
「私、お邪魔だよね」
そう言って、無理やり笑おうとする。
でもうまく笑えない。
俯いたまま、教室を出た。
背中に二人の幸せそうな気配が残っている。
その光景が、ずっと頭から離れなかった。