口説いてんの?

「俺が凪斗を怒ったのは逆だ。

 凪斗は俺と違って真面目だから

 誘われても、好きでもない女とは

 しないと思ったんだよ」

留美は、バイトの男の子を誘っては

そういう事をしていたらしい。

薫子の為に男の子を雇わなくなった、と

言ってくれてたけど

留美の事もあったんだと教えてくれた。

薫子は思考が瞬間的に飛んだ気がした。

誰もそんな事言わなかったし・・・

「でも、留美ちゃんは良い子だからって

 俊也さんも言ったんですよ?」

「言ったよ。だからそういう事だよ。

 仕事も遊びも教えてやるって!

 そういう女も居るんだって事を

 凪斗の身体で覚えさせるんだよっ!

 簡単に騙させたら駄目なんだよぉ!」

「言ってる事が無茶苦茶だよ!」

薫子は声を荒げていた。

留美がそんな事をする子だと気付かない

自分の甘さにも腹が立っていた。


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