口説いてんの?

だけど、言葉はなかった。

薫子は、俊也なら拒まないよ、と

心で呟いたけど・・・

俊也はタバコを消してエンジンを掛け

顔も見ずに低い声で言った。

「また、明日な」

「あぁ、うん、ご馳走様。

 ありがとう、おやすみ」

薫子が玄関のドアを開けると

クラクションを鳴らして

俊也は帰って行った。

私の思い過ごしだったのかぁ。

だったら何しに来たんだろう。

仕事の事で悩んでるのかも。

俊也の思い詰めてた顔が

頭から離れなかったのでメールを送った。

「仕事の悩み?

 いつでも相談にのるからね!」

携帯を握り締めていたけど

寝付くまでに返事はこなかった。


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