冷徹御曹司との運命の再会 〜隠していた双子ごと愛されました〜
 四人で公園に着くと、子供達は思い思いに遊び始める。
 湊斗は端の方で植物と虫を観察しているし、紬は滑り台を繰り返している。
 小さな公園で遊具も砂場と滑り台とシーソーしかないが、利用者がほとんどおらす今日も貸し切り状態だ。

 千恵は篤史と並んで子供達を眺めていた。
 穏やかな日差しが二人に降り注ぐ。

「今日は天気も良くて助かりました。雨だと子供達の機嫌が一日もたないので」
「確かに、あの子達がいると一日中部屋にいるのは難しそうだ」
「台風の時、篤史さんが来てくれなかったらどうなってたことか……。本当にありがとうございました」
「そうか、雨に濡れた甲斐があったな」

 篤史に微笑まれ、千恵の顔が熱くなる。彼に見つめられると、まだ嬉しさよりも気恥ずかしさが勝ってしまう。

(以前より格好良くなってるんだもの。仕方ないわ)

 数年間の月日を経たことで篤史は以前よりも余裕が見える。そのせいか、千恵の目には彼の姿がより魅力的に写るのだった。

(まだ夢みたい。篤史さんとこんな風にまた話せる日が来るなんて)

 千恵が噛み締めるように目を閉じると、シャツの裾がぐいっと引っ張られた。目をやると、湊斗がにんまりと微笑んでいる。

「みてー。ダンゴムシさん。ママにあげる」

 湊斗が得意気に丸まったダンゴムシを千恵に差し出した。
 小石のように動かないそれをそっと摘まむと、湊斗は「今度はあつしさんも一緒にさがそー」と篤史を引っ張って、木陰へと走っていった。

「もう……家には持って帰れないっていつも言ってるのに」

 すると今度は紬が走ってきて「ママー! なにもってるの?」と千恵の手を覗き込んだ。

「湊斗からもらったダンゴムシ。逃がしてあげようと思って」

 千恵が日陰にそっとダンゴムシを下ろすと、辛抱強く丸まっていたダンゴムシがもぞもぞと動き出す。しかし紬が指でツンとつつくとまた丸まってしまう。

「かわいー!」
「ダンゴムシさんビックリしちゃうから、もうおしまいね」
「はあい。じゃあママもいっしょにアッチいこ! ふたりのところ!」

 紬に手を引かれ、篤史と湊斗の方へ向かう。チラリと振り返ると、ダンゴムシが何事も無かったかのように歩きだしていた。

(強いな。いいね)

 東京にいた頃より自然が身近なこの地にいると、生き物や自然の強さを実感する。
 その強さを分けてもらえるこの地が好きだった。

(私も強くならないとな)

 篤史と距離が縮んでいるのは確かだが、自分達の関係が何か、言葉に表せない状態が続いている。居心地の良い関係がいつまで続くか、不安が残っていた。

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