冷徹御曹司との運命の再会 〜隠していた双子ごと愛されました〜
3家族のような
 翌日、皆が起きた頃には通行規制が解除されており、篤史も無事に帰ることになった。
 湊斗と紬とともに玄関まで見送りにいくと、子供達は篤史が帰ってしまうことに気づいて涙目になっていた。

「またあえる?」
「いっちゃヤダよー!」

 二人は篤史の腕を力の限り掴んで離さない。すると篤史はしゃがみこんで二人を抱き締めた。

「またすぐに戻って来る。約束するよ。その時はまた遊んでくれるか?」
「……うん」
「ぜったいよ! わすれないでね」

 そして篤史は二人をもう一度抱き締めると、二人の耳元で何かを囁いた。すると二人の顔がパッと華やぐ。

「ほんと? きょうりょくする」
「やったー! あたしも!」

 さっきまで泣きそうだった二人がみるみる元気になっていく。
 千恵が篤史にこっそりと「何て言ったんですか?」と聞くと、彼は笑って「また今度話すよ。恥ずかしいから」と笑っていた。

「そうだ、連絡先を交換しないか?」
「はい!」

 篤史に言われてスマホを取り出す。連絡先を交換すると、数年前に消してしまった彼の名前が連絡帳に再び並ぶ。
 その『緑川篤史』という表示に千恵も目頭が熱くなった。

「何かあったら遠慮なく頼ってほしい」
「あ、ありがとうございます」

 千恵はスマホをぎゅっと握りしめた。

「またのお越しをお待ちしてます」
「次の休みにまた来るよ。だから千恵までそんな顔しないで」

 篤史の指が千恵の目元をそっと拭う。
 千恵は一度目をぎゅっと瞬きしてから笑みを浮かべた。

「待ってます。三人で」

 三人は外に出て、篤史が見えなくなるまで手を振った。
 湊斗と紬は寂しそうだったが、二人で何かを耳打ちした後、千恵を見てにっこりと微笑んだ。

「あつしさん、またきてくれるのたのしみだね」
「はやくこないかなー」
「もー、いまかえったばっかりだよ。ね?」

 などと二人して楽しそうだ。てっきり慰めが必要だと思っていた千恵は、篤史の手腕に関心するのだった。


 それからというもの、篤史は頻繁にひだまりを訪れるようになった。どんなに忙しそうでも二週間に一回は顔を出してくれる。お客様が多いときには掃除などのゲストハウスの仕事もしてくれるようになった。

「お仕事で疲れているでしょう? お休みの日は休んでください」

 千恵がそう言っても篤史は手を止めなかった。

「じゃあ千恵はいつ休んでいるんだ? ゲストハウスに休日はないだろう?」
「私は日中余裕がありますし、四六時中管理人の仕事をしているわけではないので」
「でも仕事が早く終われば四人で遊べるじゃないか。なあ?」

 篤史の言葉に子供達が強く頷いている。

「あつしさん、あたまいい……」
「めいあんだわ!」

 ほらな、という顔を向けられると反論できない。だから篤史が来る日は、仕事をなるべく先回りで済ましておくことにした。
 彼の「やられた……」という顔を見て、千恵は満足げに微笑んだ。

「子供と遊ぶ時間が増えたじゃないですか。さあ、今日は何しますか?」
「おそといきたい」
「こうえんいくよー!」
「また? じゃあお出掛けの準備しよっか」

 チェックインのお客様が来るのは夕方なので、それまでは家を空けられる。この数時間の自由時間では近所にしか行けないが、子供達にとっては公園が最高の遊び場のようだった。

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