冷徹御曹司との運命の再会 〜隠していた双子ごと愛されました〜
 翌週、篤史は車でやって来た。ミドリカワ自動車が昔出していたファミリーカーらしい。深紅のワゴンタイプで、家の前に停まっていると圧倒的な存在感だ。中を見ると、チャイルドシートもしっかりと付けられている。

 湊斗と紬は目を輝かせて車を眺めていた。

「あつしさんのクルマかっこいい……」
「おおきーね! つむ、あかいろすき!」

 篤史が二人に「今日は遊園地に行くよ」と声をかけると、二人のテンションが爆発した。

「ほ、ほんとうに? やったー!」
「いぇーい! ゆうえんち、はじめてだよ! やったあー」

 二人は両手でハイタッチしながら跳び跳ねている。

(出掛ける前からこんなにテンション高いと、帰りは潰れそうね)

「ほら乗るよー。篤史さんにお願いしますって」

 二人は見たことがないほど礼儀正しく頭を下げると、シートに座って笑いあっていた。

「長時間運転してきたのに、今からまた運転なんて大丈夫ですか?」

 千恵が助手席に座りながら篤史に尋ねると、彼は笑い飛ばした。

「ははは、これでも一応自動車メーカーの社長だからな。車で無茶はしないさ。ちゃんと休憩を取りながら来たから心配しなくて良い」
「ふふっ、失礼しました。じゃあお願いします」

 四人を乗せた車はスムーズに走り出した。
 遊園地には一時間もかからずに到着した。森の中に突如現れた広大な屋外施設に子供達はおおはしゃぎだ。

「あれしってるー。かんらんしゃだよ!」
「あそこでおひめさまがてをふってるー! おーい!」
「走らないよ。ちゃんと手を繋いでね」

 休日だけあって人は多かったが、歩けないほどではない。待ち時間もさほどなく、色んなアトラクションを楽しめそうだ。

「つむはどれのりたいの?」
「あれがいい!」
「おうちのジャングルジム? ママー、あつしさん、あそこ行こう」

 ぐいぐいと飛び出しそうな紬と世話を焼く湊斗。未知の環境で二人の個性がいつもよりしっかりと見える。
 紬主導でどんどんと色々な遊具や乗り物に挑戦していき、湊斗の提案で待ち時間に計画を立てる。
 保護者必須のアトラクション以外は少し離れて見守るだけでいい。千恵は二人の成長を実感していた。
 園内のレストランで食事を済ませると、紬は再び皆を引っ張った。

「あたし、メリーゴーラウンドのりたい。おひめさまのばしゃ!」
「うーん……わかった」

 皆に見られるのが苦手な湊斗は気乗りしないようだが、紬のために頷いた。
 すると、篤史がひょいと湊斗を抱き上げた。

「湊斗は何が乗りたい?」

 優しく尋ねられて、湊斗が篤史をじっと見つめる。しばらくモジモジとしていたが、小さく「あのね」と篤史に告げた。

「ぼく、クルマのやつのりたいな」
「ゴーカートか。教えてくれてありがとう。湊斗は優しいな」
「うん。でも……」

 湊斗がチラリと紬を見た。すると紬はニッコリと目を細めた。

「なあんだ。みなはゴーカートのりたいのね。いってよー」
「うん。……へへへ、おにいちゃんだからカッコつけちゃった」
「つむだって、カッコつけたい! だから……ゴーカートいく!」

 そう言ったものの、紬の唇はギュッと結ばれている。
 すると篤史は紬も抱き上げた。

「紬も優しいな。でも紬が遠慮すると、湊斗も気にしてしまう」
「じゃあ……あっ!」

 紬は閃いたように千恵を見て、「ママ、つむとふたりでいこう!」と拳をあげた。

「うん。ママと紬はメリーゴーラウンド。篤史さんと湊斗はゴーカートで良いかな?」

 湊斗も紬も明案だと言わんばかりに勢いよく頷いた。

「じゃあ、終わったらここに集合で」

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