冷徹御曹司との運命の再会 〜隠していた双子ごと愛されました〜
 四人は二手に別れてそれぞれのアトラクションに向かった。
 千恵と紬がメリーゴーラウンドの待機列に並んでいると、紬がチラチラと何かを言いたそうに千恵を見上げてる。

「どうしたの?」
「あのね、ママはあつしさんとけっこんするの?」
「えっ?」

 思いがけない言葉に千恵は目を見開いたまま固まった。すると紬は続けた。

「かくさなくていいよ。ママとあつしさんラブラブだもん! ママ、あつしさんがいると、とってもうれしそうなんだよ。ママがうれしいと、つむもうれしいの!」
「あ、ありがとう? でもね……」
「もしかして、あつしさん、きらいなの?」
「好きよっ、大好き」

 紬がしょんぼりとした顔をみせるので思わず叫ぶように答えてしまう。
 すると紬は満足そうに「ママとあつしさん、けっこんしたらしあわせー!」微笑むのだった。


 「そろそろ帰ろうか」

 もう気づけば日が傾き始めている。子供達は歩き疲れて「おんぶ!」と言って動かなくなってしまったので、千恵が紬を、篤史が湊斗をおんぶしていた。

「またこれる?」
「つぎも四人がいいな!」
「また来よう。それに、遊園地以外もいろんな所に行こうな」

 篤史の言葉に子供達は満足げに目を閉じた。もう眠ってしまいそうだ。
 車に乗せると、子供達はそのまま寝息を立てて眠り始めた。

「寝たか。さすがに連れ回しすぎたかな」
「たまには良いですよ。子供達、すごく喜んでました。ありがとうございます」
「俺も楽しかったよ。また四人で遊んでくれるか?」

 西日が彼の顔を赤く染めている。それと同時に瞳に影が落ち、いつもより憂いを秘めいているようだ。どうしてか千恵の心臓が締め付けられる。

「も、もちろんです」
「良かった。千恵も疲れたろう? 着くまで寝ててくれ」

 篤史がそう言うと車が走り出す。千恵は眠れなかったが、目を閉じて寝ているふりをした。

『ママはあつしさんとけっこんするの?』

 紬の言葉が頭をよぎる。
 ――結婚。

 考えないようにしてきたことだ。

(篤史さんと一緒にいたい。子供達と四人で過ごしたい。でも……)

 結婚するとなれば、千恵はミドリカワ自動車の社長夫人になるということだ。

『篤史に貴女は相応しくない』

 いつか篤史の父に言われた言葉が記憶の奥底から蘇ってくる。人生がどん底に突き落とされた記憶。

(結婚だなんて出すぎた願い)

 今の関係で満足しなければならない。しかも、篤史が別の誰かと結婚するまでの期間限定だ。
 それでも、千恵に自分に言い聞かせるしかなかった。今が最高に幸せなのだと。


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