冷徹御曹司との運命の再会 〜隠していた双子ごと愛されました〜
そう言って彼が連れてきてくれたのは、渓谷のある公園だった。
頭上を覆う木々や川のせせらぎに包まれていると、肩に入れていた力が抜けていくようだ。
「二十三区にこんな場所があったなんて知りませんでした」
「俺も久しぶりに来たな」
「緑川さんはやっぱりお忙しいんですね」
二人で並んで遊歩道を歩いていると、ひんやりとした心地よい風が通り抜けていく。
「千恵ほどじゃないさ。仕事をしてからまごころで働いているんだろう?」
「仕事といっても派遣ですし、だいたいは定時で帰れますから。……緑川さんこそ、いつもまごころに来る時間が遅いですし、疲れていませんか?」
篤史がまごころに入ってくる時の表情を思い出すと余計に心配になる。
けれど彼は「疲れているが」と言いながらクスクスと笑い始めた。
「あそこにいると疲れが取れる気がするんだ」
「分かります! 私もそうでっ……気がついたら働いてました」
思わず前のめりに伝えると、篤史も笑いながら深く頷いた。
「千恵が来てから余計にそう思うよ。いつもありがとう」
「わ、私こそっ……!」
千恵は声を張り上げていた。
「私、会社では全然ダメで……人とうまく話せなくて。でも最近はまごころでも出来ることが少しずつ増えてて、居場所を見つけられた気がしているんです。それは緑川さんが美味しそうにお料理を食べてくれたからなんです!」
一息で思いを告げると、篤史が驚いたように目を丸くしていた。
途端に血の気が引く。
(純粋に楽しんでくれてた緑川さんになんてことをっ……!)
「あの、今のは」
「嬉しいよ」
篤史の低く心地のよい声が千恵の言葉を遮った。
彼の熱のこもった瞳が千恵を見つめている。その表情は今まで見たことがないほど甘かった。
「俺も同じだ。千恵のおかげで仕事を頑張れている。最初は偶然だったが、今は千恵の料理を食べに通っているようなものだ。……千恵が好きだから」
「え……?」
篤史のまっすぐな告白に、千恵は口をぽかんと空けた。
「付き合ってほしい。店以外でもこうして君のそばにいたい」
「でも……」
(私と緑川さんでは釣り合わない。しがない派遣社員だし、親もいないし……)
不安や葛藤が頭の中をぐるぐると駆け巡る。
すると、篤史の手がそっと千恵の手に触れた。遠慮がちに繋がれた手からは彼の配慮が感じられた。
おずおずと篤史の顔を見ると、まるで振られるのを覚悟しているかのように寂しそうな瞳で微笑んでいる。
千恵の胸がギュッと締め付けられた。
「私なんかでいいんですか?」
「千恵じゃなきゃ駄目だ」
「……私も緑川さんじゃないと駄目みたいです」
消え入りそうな声で返すと、その瞬間、強く抱きしめられた。
「良かった。もう離さない」
「み、緑川さん……」
「名前で呼んでくれないか?」
「篤史、さん」
かすれた声で彼の名前を呼ぶと同時に唇に柔らかいものが触れた。
そっと離れていく篤史は満足そうな表情でほほ笑んでいた。
頭上を覆う木々や川のせせらぎに包まれていると、肩に入れていた力が抜けていくようだ。
「二十三区にこんな場所があったなんて知りませんでした」
「俺も久しぶりに来たな」
「緑川さんはやっぱりお忙しいんですね」
二人で並んで遊歩道を歩いていると、ひんやりとした心地よい風が通り抜けていく。
「千恵ほどじゃないさ。仕事をしてからまごころで働いているんだろう?」
「仕事といっても派遣ですし、だいたいは定時で帰れますから。……緑川さんこそ、いつもまごころに来る時間が遅いですし、疲れていませんか?」
篤史がまごころに入ってくる時の表情を思い出すと余計に心配になる。
けれど彼は「疲れているが」と言いながらクスクスと笑い始めた。
「あそこにいると疲れが取れる気がするんだ」
「分かります! 私もそうでっ……気がついたら働いてました」
思わず前のめりに伝えると、篤史も笑いながら深く頷いた。
「千恵が来てから余計にそう思うよ。いつもありがとう」
「わ、私こそっ……!」
千恵は声を張り上げていた。
「私、会社では全然ダメで……人とうまく話せなくて。でも最近はまごころでも出来ることが少しずつ増えてて、居場所を見つけられた気がしているんです。それは緑川さんが美味しそうにお料理を食べてくれたからなんです!」
一息で思いを告げると、篤史が驚いたように目を丸くしていた。
途端に血の気が引く。
(純粋に楽しんでくれてた緑川さんになんてことをっ……!)
「あの、今のは」
「嬉しいよ」
篤史の低く心地のよい声が千恵の言葉を遮った。
彼の熱のこもった瞳が千恵を見つめている。その表情は今まで見たことがないほど甘かった。
「俺も同じだ。千恵のおかげで仕事を頑張れている。最初は偶然だったが、今は千恵の料理を食べに通っているようなものだ。……千恵が好きだから」
「え……?」
篤史のまっすぐな告白に、千恵は口をぽかんと空けた。
「付き合ってほしい。店以外でもこうして君のそばにいたい」
「でも……」
(私と緑川さんでは釣り合わない。しがない派遣社員だし、親もいないし……)
不安や葛藤が頭の中をぐるぐると駆け巡る。
すると、篤史の手がそっと千恵の手に触れた。遠慮がちに繋がれた手からは彼の配慮が感じられた。
おずおずと篤史の顔を見ると、まるで振られるのを覚悟しているかのように寂しそうな瞳で微笑んでいる。
千恵の胸がギュッと締め付けられた。
「私なんかでいいんですか?」
「千恵じゃなきゃ駄目だ」
「……私も緑川さんじゃないと駄目みたいです」
消え入りそうな声で返すと、その瞬間、強く抱きしめられた。
「良かった。もう離さない」
「み、緑川さん……」
「名前で呼んでくれないか?」
「篤史、さん」
かすれた声で彼の名前を呼ぶと同時に唇に柔らかいものが触れた。
そっと離れていく篤史は満足そうな表情でほほ笑んでいた。