私は優秀なストーカーから逃げられない
イケメンと残業

夕方になり…。

「山内さん。データ届いてないけど…。」

「えっ!?そんなはずは…。朝、送りましたけど…。」

送信ボックスを見ても無い…。

あれ?

「すみません…。もう一度送ります。」

私はもう一度送ろうと、データボックスをクリックしたが、そのデータが無い…。

えっ!何で?無い…。

私が青ざめてると、リーダーが来た。

「どうしたの?」

「あの…。データが無いんです…。」

「えっ…?それ…明日、午後に先方に送るやつだよね?」

「はい…。今から作り直します!」

「今から…って…。」

時計を見ると16時。

「残業しても良いですか?」

「まぁ、仕方ないよね…。大丈夫?残れる?」

「もちろんです!」

「とりあえず、俺も手伝うから頑張って終わらせよう。」

「すみません。ありがとうございます。」

リーダーの合田さんと一緒に資料を作り直す。

18時になり皆がゾロゾロと帰り始める。

リーダーに残ってもらうの悪いな…。

18:15分が過ぎた頃、合田さんの着信音が流れた。

合田さんが席を外した。

私は、トイレに立つと柱の陰で合田さんが電話で謝っている。

「…………………。ごめん…。ちょっとトラブルで…。行けそうにない…。浮気じゃないよ。ちゃんとプレゼントだって用意してるし…。レストランも用意してるんだから…。また別の日にお祝いじゃダメかな?……。」

たまたま聞こえてしまった…。

多分、今日、何かの記念日だ…。

電話を切った合田さんが、振り向き私と目が合うとバツが悪そうにした。

「さあ、あと半分くらいだから、頑張ろう。」

「ごめんなさい!私のせいで…。あの!1人で出来ますので、彼女さんの所行ってください!」

「1人でって…。この量を1人では無理だよ。良いんだよ。俺はリーダーなんだから…。」

「そんな…。すみません…。」

泣きそうになる…。

すると影山さんが戻って来た。

「何で影山君、戻って来たの?」

「あぁ。忘れ物っす。あれ?お二人で残業ですか?確か合田さん、今日、彼女の誕生日って言ってませんでした?やっと一年待った人気店の予約取れたって言ってたの今日じゃなかったでしたっけ?」

やっぱり!

「良いんだよ。さぁ、山内さん、仕事戻ろう。」

「何かトラブルですか?何なら俺、代わりますよ?せっかくの誕生日祝ってあげてください。」

「いや、いいよ。」

「良いですよ。引き継ぎしてください。」

影山さんは合田さんから強引に引き継ぎを済ませて合田さんを帰した。

「さ!頑張っろっか。」

「すみません。」

「良いんだよ。じゃあ…早く終わったらさぁ、ご飯食べに行かない?美味しそうな所を見つけたんだけど、男1人では入りにくそうな所でね…。付き合ってくれる?」

「もちろんです!」

「じゃあ早く終わらせよう。」

残り半分を1時間で終わらせて、19時には終わった。

「ありがとうございました!」

「うん。あ!早く行こう!閉まっちゃう!」

「え!?」

そう言うと影山さんは帰り支度をして私の手を取り走った。

連れて来られた所は、可愛いカフェだった。

確かに男の人が1人で行くのは、恥ずかしいのかもしれない。

カップルだらけだ。

「ごめんね。急がせて。ここのパフェが美味しそうで気になってたんだけど、見ての通りカップルだらけで入りにくくて…。女の子同士なら行けそうだけど…。ごめんね…。これ食べたらご飯へ行こう。」

「影山さん、彼女いないんですか?てっきりいると思ってました…。指輪してるし…。」

影山さんの左の薬指には指輪が光っている。

結婚は聞いてないので彼女だと思ってたけど…。

「あぁ…。これ?これは女避け?営業とか回ってるとさ、色々あるでしょ?」

まぁ、私はないけど、影山さんならあるんだろうな…。

なんか納得…。

ここの店の有名なパフェらしく2人で一個の大きめなパフェだった。

可愛く彩られたパフェを前にイケメンが嬉しそうにしているのが可愛すぎる。

「写真撮って良い?」

私も何枚か写真を撮って2人で食べ始めた。

味も見た目ばかりでなく美味しかった。

そして、その後はお茶漬け専門店に連れて行ってもらった。

会社では周りの目が気になるので、影山さんとは、ほぼ朝の挨拶しかできてないが今夜は色々な話をした。

好きな食べ物や、どんな服装が好きとか、もし住むならどんな間取りが良いかなど話が弾んだ。

そしていつのまにか、時間が過ぎていた。

「もうこんな時間!帰らないと!電車無くなっちゃう!」

「そうだね…。明日も会社だし。今日は楽しかった。ありがとう。また1人で行けない店に付いてきてくれる?」

「もちろんです。私で良ければ是非!」

なんだか秘密を共有したみたいで嬉しい。

帰る方向も一緒で、最寄り駅まで一緒だった。

そして…送ると言われて送ってもらうとマンションも一緒でお隣りさんだった。

「すごい偶然ですね!」

「本当だね。よろしくね。」

「よろしくお願いします。おやすみなさい。」

「おやすみ…。」

お互い扉を開けて手を振って別れた。

すると影山さんからメッセージが届いた。

『今日はありがとう。楽しかった。また行こうね。』

そして私がパフェを頬張っている写真やお茶漬けを食べている写真が送られて『可愛い』と添えられていた。

これが可愛いかは置いておいて、こんな事されたらドキドキしちゃう。

私はなんだか夢のようなフワフワした気持ちになった。

私も『今日は残業とご飯をありがとうございました』と送っておいた。

でもここに引っ越した時、お隣さんってあんなイケメンだったっけな?全く記憶に無い。

そういえばお隣さん留守だったんだ。

いつもいなかった…。

影山さん忙しいんだろうな…。

何故か納得した。
< 2 / 19 >

この作品をシェア

pagetop