煉瓦坂の少し奇妙なX'mas
「じゃぁ俺、先に上がりますんで……ってプレゼント随分増えてますね?」
マフラーを首に巻いた吾郷君が半分くらい飾り付けられたツリーの下に転がるバッグを引き起こし、小さな包みを入れながら呟く。俺も実はそれに気づいていた。袋は想定より随分まるまるとしているし、入れるときにチラっと見える中身が、前日より増えてる気がしてたんだ。
「やっぱり増えてるよね……? 吾郷君の何個目? 領収書、もう2つ分貰ってる気がするけど」
俺以外の店員4人が全部入れても合計8個。その分の領収書は既に受け取っているけれど、俺が毎日1個入れるのを考えてもそんな量じゃない、気がする。吾郷君は決まりが悪そうにテヘへと微笑む。
「実は4つ目です。これは俺が出すんでいいですよ。公理さんもほとんど自腹でしょ?」
「いや、俺は店長だし俺が始めたことだから……」
「公理さんが入れたものばっかりなら、公理さんがもらう分が少なくなっちゃうじゃないですか」
俺がもらう?
そんなことはあまり考えていなかった。みんなにプレゼントを配れればいいなって。クリスマスっぽく。
「俺らもしたいんすよ、プレゼント交換」
「え、じゃあみんな追加で入れてるってこと?」
「多分? この増え方だと」
「まいったなぁ……」
けれどクリスマス気分を味わいたいって始めたのは俺だし、駄目とはちょっと言い難い。毎年聖夜はクリスマスなんて考える暇もないほど激務で、だから25日に宴会、か。ケーキとチキンで。生きてるかな、俺。
「じゃお先に」
そう告げた吾郷君が入口を開けると突然の強い風と一緒に室内に白が舞い込んだ。慌てて入口に向かえば路面は僅かに白く、手を伸ばせばぽてりと湿った雪の塊が手の平に乗る。初雪だ。
「凄いねぇ。ぼた雪だ。明日積もるかな」
「そうかもしれませんね」
「今年も雪だるま楽しみにしてます」「雪だるま楽しみにしてるよ」
同時に出た声に顔を見合わせた。
「え、雪だるまって吾郷君が朝に作ってるんじゃないの?」
「いえ? 俺が来た時にはもうできてるから、てっきり夜中に公理さんが作ってるのかと」
初雪の次の日には、毎年必ず雪だるまが店の前にできていた。
吾郷君は基本的に朝番で早く帰る。この繁忙期、俺は基本的に最後までいるけど仕事終わりは速攻飲みに行くから雪だるまなんか作らない。じゃぁ、一体だれが?
「ちょっと怖いじゃん」
そんな雪だるまの話で靴下のことはすっかり忘れてプレゼントの中身と数をチェックしてなかったのが、俺の2つ目の失敗。
マフラーを首に巻いた吾郷君が半分くらい飾り付けられたツリーの下に転がるバッグを引き起こし、小さな包みを入れながら呟く。俺も実はそれに気づいていた。袋は想定より随分まるまるとしているし、入れるときにチラっと見える中身が、前日より増えてる気がしてたんだ。
「やっぱり増えてるよね……? 吾郷君の何個目? 領収書、もう2つ分貰ってる気がするけど」
俺以外の店員4人が全部入れても合計8個。その分の領収書は既に受け取っているけれど、俺が毎日1個入れるのを考えてもそんな量じゃない、気がする。吾郷君は決まりが悪そうにテヘへと微笑む。
「実は4つ目です。これは俺が出すんでいいですよ。公理さんもほとんど自腹でしょ?」
「いや、俺は店長だし俺が始めたことだから……」
「公理さんが入れたものばっかりなら、公理さんがもらう分が少なくなっちゃうじゃないですか」
俺がもらう?
そんなことはあまり考えていなかった。みんなにプレゼントを配れればいいなって。クリスマスっぽく。
「俺らもしたいんすよ、プレゼント交換」
「え、じゃあみんな追加で入れてるってこと?」
「多分? この増え方だと」
「まいったなぁ……」
けれどクリスマス気分を味わいたいって始めたのは俺だし、駄目とはちょっと言い難い。毎年聖夜はクリスマスなんて考える暇もないほど激務で、だから25日に宴会、か。ケーキとチキンで。生きてるかな、俺。
「じゃお先に」
そう告げた吾郷君が入口を開けると突然の強い風と一緒に室内に白が舞い込んだ。慌てて入口に向かえば路面は僅かに白く、手を伸ばせばぽてりと湿った雪の塊が手の平に乗る。初雪だ。
「凄いねぇ。ぼた雪だ。明日積もるかな」
「そうかもしれませんね」
「今年も雪だるま楽しみにしてます」「雪だるま楽しみにしてるよ」
同時に出た声に顔を見合わせた。
「え、雪だるまって吾郷君が朝に作ってるんじゃないの?」
「いえ? 俺が来た時にはもうできてるから、てっきり夜中に公理さんが作ってるのかと」
初雪の次の日には、毎年必ず雪だるまが店の前にできていた。
吾郷君は基本的に朝番で早く帰る。この繁忙期、俺は基本的に最後までいるけど仕事終わりは速攻飲みに行くから雪だるまなんか作らない。じゃぁ、一体だれが?
「ちょっと怖いじゃん」
そんな雪だるまの話で靴下のことはすっかり忘れてプレゼントの中身と数をチェックしてなかったのが、俺の2つ目の失敗。