煉瓦坂の少し奇妙なX'mas
「そういや公理さん、サンタっていつまで信じてました?」
「え、俺? いつくらいかなぁ。マジでサンタさんがプレゼントくれてると思ってたのは小学校低学年くらいかな? 多分。親が迂闊でさ、イブイブに親の部屋でプレゼントとサンタ帽のセット見つけたんだよ」
「え? 公理さんちっておじさんがサンタ服着てプレゼント持って来るんです? そりゃ気づきますよ」
 要ちゃんの呆れた声に、あわてて付け足す。
「さすがにそれはないない。ケーキ切る時にかぶったりするんだよ。けどなんていうか、そのサンタの帽子がいい加減に安っぽく草臥れてて。使用感があるっていう? それが楽しみにしてたプレゼントと一緒に置かれてて、ああこれってファンタジーじゃなくて現実ベースな話なんだなって夢が壊れちゃったっていうか」
 要ちゃんの視線に気づいて、自分何言ってるんだろって思った。そう、この覚めちゃう感覚?
 それで要ちゃんはぱちりと瞬きをした。
「なんとなく、言わんとしてることはわかりますよ。冷静になっちゃうと色々見えちゃうんですよね、それまで見えてなかったこと」
「そうそう。そういえばサンタさんへの手紙を親に渡してたなとか、サンタに何を頼むのか聞かれてたなとか」

 そのころから多分、俺はサンタさんに過剰な非現実感を持てなくなった気がする。けどそれが別に悪いことだとは思わない。
 12月に入れば世間はクリスマスに向けて動き出し、商店街ではジングルベルとか歌が流れてクリスマスっぽいディスプレイが増えていく。直前になればサンタの服の客引きがうろつく。うちだってツリーを飾って少しのディスプレイをする。確か明日には届くはずだ。そういった商業的な活動は本当にサンタを信じてるからやってるんじゃない。サンタさんはファンタジーな世界から現実ベースのお祭りになって、ただ、みんなでそういう風に祝ってるんだ。
「ああそうか、俺もクリスマスを祝ってみたいのかも」
「じゃあ当日はクリスマス感を出してみたらどうです? サンタコスで仕事するとか」
 なるほど。
「カラーしてると色ついちゃうからさすがに服は難しいけど、帽子くらいならアリかもしんない」
 サンタの帽子はありふれている。100円ショップで買えるほどにも。
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