煉瓦坂の少し奇妙なX'mas
 翌日、店に届いてたツリーは思ったより小さかった。1メートル30センチ。一緒に働く吾郷(あごう)君と店の入り口近くに設置する。
「思ったより大きいですね」
「そう?」
 俺の感想は一般的ではないらしい。
「お客さんの邪魔になるかな」
 動線をふさぐほどではないとは思うけど、入口に立てば店内のライトが僅かに遮られ、少し暗く見えた。
「チェンジする? リースだし」
「いいんじゃないですか? こっから飾り付けるんでしょ? 電飾で明るくなりますって」
 オーナメント一式のつまった梱包を開けば結構な量で、完璧にセットしてたら開店時間をオーバーしそうだ。他にも色々準備があるのに。
「後回しでいいんじゃないすか」
「でもこれじゃただの木だよ」
 ドンと店の入り口に邪魔くさく存在するもみの木。
「じゃあ毎日少しずつ飾り付ければ? SNSでUPすれば店の宣伝にもなりますし」
「お、いいね、臨場感。じゃあ最初の1つ」
 これがなければツリーではなく、これがあればただのモミの木ではなくなる。その大きな星をツリーのてっぺんに取り付ける。これだけだと、なんだか寒そうだ。だからツリーの下に靴下の袋を置いた。ああそうか。この袋がデカいからツリーが小さく見えたのか。ツリーの半分弱サイズの靴下は下の枝と地面の幅よりデカくて、まるでツリーを支えているようだ。なんとなく逆さにしたスノードームで雪にビルが刺さっている風景を思い出し、やっぱり違うところに置こうと思っていたら声がかかる。
「なんですか? それ」
「ああ、クリスマスっぽいことをしようと思ってさ。この靴下に少しずつプレゼントを毎日入れて、クリスマスに開けて好きなものを持ち帰るんだ」
 そう呟くと、吾郷君の顔がパッと明るくなる。
「いいですね、じゃ、それ俺も入れてもいいですか?」
「え……? 別にいいけど、気楽なものじゃなきゃ駄目だよ。そうだな、1000円くらい以下で」
 俺が昨日買ったのがだいたいそのくらいのものだったから。
「プレゼント交換会みたいで楽しいっす。小学校のころとかの」
 プレゼント交換会……? そういえばやったことがあるな。歌に合わせてプレゼントを回して、当たったり外れたり。人形セットをもらった時は、頼み込んで女子と交換してもらった。
 そうしてまあいいかと思って靴下袋をツリーの下に置いたのが、少々の失敗の1つ。
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