時田君と私の秘密の契約〜毎週金曜日の秘め事〜
 時田くんの家はシンプルな1LDKのマンションだった。ベッドにソファーにテーブルに必要な家具が配置してあって、キッチンはちゃんとした対面式なシステムキッチンなのに、あまり使用していなそうにポツンと寂しそうに配置してある印象だった…。

 カレーを作る準備をしている私の元に時田くんがクスッと笑いながらやってくる…。対面式のキッチンは時田くんの顔が見えてしまって何だが落ち着かなかった…。

 「やりにくい。時田くんは座って待ってて⁉︎」

 私を見ながらニマニマ笑っている時田くんを椅子に座らせて、私は黙々とカレーの準備を始めた…。

 時田くんはやっぱり笑っているから、「何笑ってるの⁇」とまた聞いたら、「向日葵さんが家のキッチンで料理してるとか新鮮すぎ」と言って意地悪な笑みを浮かべた。

 「揶揄うならもう作らないと」とそっぽを向いて顔を逸らすけど、私は単純に照れていた。

 お皿のある場所を聞くと、背の高い時田くんが取ってくれた。「背まで高いなんて本当嫌味…。」とまた素直じゃない言葉を発すると、時田くんは「向日葵さんが小さいんだよ。」と言ってまた笑っていた。

 時田くんは背が高い。多分180センチ越えであろう彼は街に佇んでいるとまるで雑誌のモデルのようで、155センチしかない私を常に見下ろしているようで何て嫌味なのだろうといつも思っていた。

 だけど、いつもモデルみたいに高い時田くんの身長が、チビな私はいつも羨ましかった。だから、いつも背の高い時田くんには負けないように、チビで頼りない女だと思われないように、いつも時田くんの前では去勢を張って生きてきた。
 
 そんな時田くんの家でまさかカレーを作っているなんて…。人生は何とも不思議だと思う。
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