傲慢すぎる警視に衛られて愛される
チャペルの前に愛と逢坂が並んで立っていた。

カメラマン役の警察官が数歩引いてファインダーを覗き込む。


「はーい、2人とも笑って~」


愛と逢坂は、ぎこちない笑顔を浮かべた。

並んで立つと、逢坂の背の高さが改めてわかる。

タキシード姿の逢坂の腕に愛はそっと手を添えていた。

曇り空の下、チャペルの白い壁が、やけに眩しかった。

その時、イヤモニから鳴海の声が届いた。


『来たぞ』


愛の手に、無意識に力が入った。

逢坂がその手に視線を落とす。


「おい」

「……すみません」


愛は力を抜こうとしたが、指が言うことを聞かなかった。


「防弾ジョッキ着てるよな」

「さっきも聞きましたよ」

「そうだったか?」


逢坂が愛の手にそっと触れた。

愛は驚いて逢坂を見た。

逢坂はもう視線を外していた。

中田を探している。

逢坂は愛の手を撫でて離れた。


「離れるぞ」

「はい」


それだけ言って逢坂はカメラマンと共にその場を離れた。

愛はひとり、チャペルの前に残された。

深呼吸をひとつ。

それからゆっくりと、ベールを被った。

白い薄布が視界を覆う。


(大丈夫……大丈夫……)


自分に言い聞かせた。

心臓は早鐘を打ち続けている。

やがて石畳を踏む足音が近づいてくるのがわかった。
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