傲慢すぎる警視に衛られて愛される
ゆっくりとした足音だった。

まるでこの時を楽しんでいるような足取りだった。


(来た)


愛は動かなかった。

足音が止まった。

気配が、すぐそこにある。

ちらっと視線を動かした瞬間、息が詰まった。

中田昴が至近距離に立っていた。

思わず声を上げそうになるのをぐっとこらえた。

顔の右側から左へ、斜めに走る傷跡。

愛が知っている傷と、まったく同じ形の傷が、そこにあった。


「やあ、綺麗だね」


中田の口元が、にやりと上がった。


「もっと顔を見せて。お揃いの顔を」


愛は顔を伏せたまま、動かなかった。


(落ち着け、落ち着け)

「なんで何も言わないの?」


中田の声は穏やかだった。

それが余計に背筋を凍らせた。

愛の肩が、わずかに震えた。


「震えているじゃないか。可哀想に」


中田が、さらに距離を詰めてくる。
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