傲慢すぎる警視に衛られて愛される
木の影で逢坂は息を殺していた。

ナイフが見えた瞬間、全身に電流が走った。


(動くな)


頭の中で自分の声が言っている。


(事件にする。現行犯で捕まえる。それが唯一の方法だ。被害がなければ逮捕できない。逮捕できなければ、終わらない。今まで、そうやって来たじゃないか)


逢坂は自分の心と頭が一致していないことに困惑した。


(わかってる……わかってるんだ。これでいいんだ)


ナイフが愛の身体に近づいていく。

白いドレスが風に揺れている。

逢坂の手の中で白い手袋がぐしゃりと潰れた。


(俺の隣にいろ)


あの夜、逢坂が言った言葉が頭の中で響いた。


(俺の隣に、いろ)


中田が愛にナイフを見せつける。


「これで一緒に」


中田の声が聞こえた。

白い手袋が地面に落ちた。
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