傲慢すぎる警視に衛られて愛される
愛は逢坂の横顔を見た。

前を向いたまま逢坂は続けた。


「今日もお前が早坂とにこやかに話しているのを見て」


逢坂は恥ずかしそうに少し下を向き、言葉が詰まる。

愛はもっと聞きたくて一歩、踏み込んだ。

その時、くるっと逢坂が愛の方に振り返る。

何かを言おうとして逢坂が一瞬、口を閉じた。

愛は次の言葉を待った。

吐息と一緒に逢坂が言った。


「ぐわっと腹が立ったんだ」

「……」

「理由はわからない。でも気が付いたら身体が動いていた」


愛は飛び出しそうなほど心臓がドキドキしている。

逢坂の表情を見て愛はさらに驚く。


(逢坂さん……その顔、反則だよ……)

「それって――」

「衛!」


その時だった2人の会話をぶち破るように透明感のあるよく通る声が響いた。

2人は同時に振り返る。

女性が手を振りながら、こちらに向かって歩いてきた。


「朋……」

「え?」

逢坂のぽつりと言った名前に愛の胸がざわざわし始める。
< 140 / 164 >

この作品をシェア

pagetop