傲慢すぎる警視に衛られて愛される
逢坂の目にはもう愛が映っていなかった。

ただ1点だけを見つめていた。


「やっぱり衛だ!」


街灯の光に照らされた顔は息を飲むほど整っていた。

細いシルエットが愛の目の前に現れる。

迷いのない足取りで逢坂に向かって歩いてくる。

彼女の目にもまた愛の姿は映っていなかった。


「衛、久しぶり」


朋は逢坂の名前を当たり前のように呼んだ。

逢坂の表情が愛が今まで見たことのないものに変わった。


「ああ」


低く絞り出すような声だった。

愛は逢坂と朋を交互に見た。

逢坂の顔が今までで一番、人間らしく見えた気がした。


(きっと大切な人な人なんだ)


それが愛の出した結論だった。
< 141 / 164 >

この作品をシェア

pagetop