傲慢すぎる警視に衛られて愛される
愛は2人を見ていて気持ちが沈んでいった。


(私がいる場所じゃない)

「ねえ、衛」


朋が逢坂の腕を引いた。

その動作は自然で躊躇がなかった。

長い時間を一緒に過ごした人間だけが持つ距離感だった。

愛は一歩、後ろに引いた。


「私、お先に失礼します」

「え?」


逢坂がようやく愛を見た。


「お疲れ様でした」


愛は頭を下げた。

笑顔を作った。

うまく作れたかどうか自分ではわからなかった。


「山下」


愛は逢坂の声を聞こえないふりをして歩き出した。

背中に視線を感じた。


「おい」


逢坂の声が後ろから聞こえた気がしたが足を止めなかった。

川沿いの夜道をひとりで歩く。

さっきまで逢坂と並んで歩いていた道をひとりで速足で引き返した。

愛は自分が「それって――」と言いかけていたことを、そっと胸の奥にしまうことにした。
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