傲慢すぎる警視に衛られて愛される
愛が逢坂の濡れたジャケットをハンガーにかけてドライヤーで乾かしているとがちゃりとドアが開く音がしてドキリと身体を震わせた。

逢坂は着るものがなかったので上半身裸にタオルを首に巻いて出てくる。

愛は顔を真っ赤にして目を反らした。


「私、何か着るもの買ってきます」

「いい」

「でも」


逢坂は濡れたズボンを履いていた。


「逢坂さん?」

「俺、帰るわ」

「え?」

「ドライヤーだけ貸してくれないか?」

「あ、はい」


愛は呆然と差し出す。

逢坂は愛からドライヤーを受け取ると洗面所に戻って行った。

愛はぺたんと床に座り込む。


(なんだ。帰っちゃうんだ)


ホッとするのかと思うと心はまったく違った。


(私、逢坂さんに帰らないでほしいって思ってる)


愛が洗面所を覗くと逢坂が髪を乾かしていた。

逢坂が鏡越しに愛を見る。


「なんだよ」

「あ、いえ」


濡れたワイシャツが目に入る。


「あの、よかったら、そのシャツが渇くまでうちに居てください」

「え?」


聞こえなかったようで逢坂がドライヤーの音を切る。


「なんて?」

「そのシャツ、濡れてるから乾くまでうちに……」


最後の言葉が弱々しくなった。

逢坂がドアライヤーを置いて、愛にゆっくりと近づく。


「何? 居ていいの?」


愛は逢坂を見ずに頷いた。


「あ、でもそのままだと風邪をひいちゃうのでブランケットに包まって」


その時、逢坂が愛を抱きしめた。

愛の心臓は再び激しく鼓動し始める。


「お前、あったかいな」


逢坂の身体はすっかり冷えて冷たかった。


「逢坂さん、このままだと風邪ひいちゃいます」


愛が離れようとした時、さらに逢坂の腕の力が強まった。
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