傲慢すぎる警視に守られて愛される
警察署の取調室では先ほどの盗撮魔が椅子に座ってうなだれていた。
彼の名前は沢村悠矢(さわむらゆうや)。電車内での盗撮の常習犯だった。
案の定、スマホの写真のデータには多量の盗撮写真が残っていた。
半年以上、捕まらず最近では行動が大胆になっていたという。
警察官の取り調べが続いていたが、反抗する様子も黙秘する様子もなく全て認めているようだ。

取調室から少し離れた会議室では愛が取り調べを受けるような形で座らされていた。

「盗撮するってわかってるのに、ほっとけませんでした。邪魔したつもりはありません」

愛の前に座っている迫田がため息をついた。
迫田は子供に言い聞かせるように話す。

「いいか、今日のはお前のせいで、事件にならなかった。あいつは常習犯だったから証拠が大量に出てきてよかったものの、あのまま証拠がなかったら犯罪者を再び世に放つことになるんだぞ」
「お言葉ですけど被害にあったら、あの女子高生は一生、傷と恐怖を味わいながら生活をすることになるんですよ」
「気を付けるように言ってあげることもできるだろ! お前だって彼女が被害に遭うかもしれないと思ったんじゃないのか」
(確かに彼女は美人でスカートが短く無防備だった)
「何を気を付けるんですか?」
「は?」
「女子高生は何も気を付けなければいけないことはしてませんよね」
「それは」
「スカートを長くしろって言うんですか? 美人である顔を隠せって?」
「話を飛躍しすぎだ」
「彼女はただ学校に向かっていただけです。すべて、あの沢村って男が悪いんです」

迫田は面倒な奴に関わってしまったというような表情を隠そうともせず、引きつった顔を愛に向けた。

「私だってわかってます。でも彼女に被害者としての人生を歩ませたくない」
「お前がやっていることは警察がやることじゃない」

愛はグッと奥歯を噛みしめた。

(わかっている。そんなこと、警察官になってずっと言われてきた)
「そうかもしれません。でも私にとっては辛い記憶を一生背負っていくかもしれない子が1人減ったことの方が大事なんです。何も知らずに今日が特別な日にならずに過ごしてほしいんです……」

愛の声は徐々に小さくなり最後は下を向いた。

「とにかく! もう邪魔はしないでくれ」
「……はい」
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