傲慢すぎる警視に衛られて愛される

6章

愛は9年前のことを思い出して体育座りして自分の身体をぎゅっと包み込んだ。


「私はまた……また私は護れなかった」


涙が頬を伝った。

その時、スマホが鳴る。

見ると『お母さん』の表示されていた。

愛は手で涙を拭って、しゃんとしてから笑顔を作る。


「もしもし」


山下家の明るいリビングでは佳代子がソファでテレビを見ながら電話している。


「もしもし」


テレビではアナウンサーが澪の事件を伝えていた。

佳代子はリモコンで音を消す。

テレビは澪の写真が映っている。


『お母さん? 何? どうしたの?』

「あら? 愛、風邪でもひいてるの?」

『ひいてないよ』

「鼻声じゃない?」


愛はティッシュを探して、手に取る。


「ハウスダストかな。そんなことより、どうしたの?」

『いやぁ、ね……ていうか、あなたがすんなり電話に出れるなんて珍しいわね。今日はお休み?』

「う、うん、そう。今日は休み。てか電話でないと何度もかけてくるじゃない。それで? 何よ」

「今ね、テレビで事件とかってやっててね」


愛はドキンとして、瞳が揺れた。


「あなた、この事件の捜査とかしてるのかしらって心配になったのよ。もし捜査してるなら外してもらうことはできないの? お母さん、愛が心配で」


佳代子は澪が刺された現場で鑑識が写真を撮っている映像を見ながら言った。


『お母さん、大丈夫。心配しないで。私は交番勤務だから、そんな大きな捜査はしないから』

「交番のお巡りさんってこと?」

『そうだよ』


佳代子は安心した様子で胸を撫でた。


「あら、そう。ならよかった」

『何度も言ってるじゃない。お母さん、事件ある度に電話してくるのやめてよね』

「だって心配なんだもん。愛、あなた警察辞める気ないの? 別に警察官じゃなくても良いじゃないの」
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