傲慢すぎる警視に衛られて愛される

8章

愛の運転する車で警視庁までの道のりを走っていた。

助手席の真理恵が横目で愛を見る。


「どした? 黙って」

「いえ、なんか色々と考えちゃって」

「いろいろ?」

「被害者って、どうやって護れば良いんですかね」


愛の視線はまっすぐ前を向いたままだ。


「そうね~難しいわよね」


真理恵は少し間を置いてから続けた。


「私たち警察は、事件が起きて初めて動けるからね」

「事件が起きて……ですか」

「未然に防ぐなんてこと、警察の私たちには出来ないのかもね」

「じゃあ、ストーカー犯罪対策係って何なんですか」


真理恵は窓の外に目をやった。


「そりゃ、お偉いさんたちの世の中へのアピールでしょ」

「アピール?」


思わず愛は真理恵の方を向く。


「前むく」

「すみません」

「ストーカーが殺人、起こすと、犯人本人より警察がいつも責められるじゃない。だから対策係を作りましたっていう形が欲しいのよ」

「そんな!」


愛が言葉を続けようとした時、スマホの着信音が鳴り響いた。


「あら、電話じゃない?」

「あとでかけ直します」


しかし電話はしつこく鳴り続けた。


「路肩に止めて出ちゃえば?」

「すみません」


愛は車を停めてスマホの画面を見た。

『お母さん』の表示。


「もしもし? 今、仕事中だから、あとに……え?」


真理恵が愛の顔を覗き込む。


「それで?! お姉ちゃんは?」


愛の声が上ずった。
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