傲慢すぎる警視に衛られて愛される
「心配するに決まってるじゃない。美憂があんな目に遭って……」


佳代子が言葉につまり、愛は奥歯を噛みしめた。


「それなのに、あなたが、こういう危険が伴う仕事に就いて、お母さんが心配しないと思ってたの?」


佳代子はとうとう涙をこぼした。


「思ってた。心配するって、反対するって。だから言えなかった。現に大反対だったじゃない」


愛はまっすぐ佳代子を見て言った。


「刑事になったことを言わなかったのは、心配させたくなかったから。もう、これ以上、苦しんでほしくなくて」


そこで愛は口を閉じた。

佳代子は娘の顔をじっと見つめた。


「じゃあ、いますぐ辞めなさい」

「それは出来ない」

「じゃあ心配させたくなかった、なんて言わないで」


愛はそれ以上、何も言えなかった。


(お姉ちゃんのことで、お母さんは、もう充分すぎるほど心をすり減らしてきた。これ以上、母親を消耗させたくなかった)


真理恵が静かに口を開いた。


「愛さんからお話は聞きました。お姉さんの力にならせてください」


佳代子は真理恵に視線を移した。


「花園さんは、愛からどこまで聞いているの?」

「本人からは先ほど聞いたばかりですが、詳細は係の中で共有されています」


愛はその言葉を聞いて、真理恵の方をぱっと見た。


「お姉さんが9年前にストーカー被害に遭われたこと。出所してからご家族が怯えていること。今日までは何もなかったこと」


佳代子の肩が、わずかに落ちた。


「愛が対策係に来たのも、姉のことがあったからですか?」

「愛さんがうちに来たのは……」


真理恵は愛を見つめる。

愛は頷いた。


「自ら希望したんです」


佳代子はゆっくりと息を吸った。


「……そう、ですか」
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