傲慢すぎる警視に衛られて愛される
愛は椅子を少し話して正面を向いた。

早坂も正面を向き、クスクスと笑いながらグラスを傾けた。

愛はその横顔を見た。

笑っていない時の早坂は、どこか遠いところを見ているような顔をする。

カウンセラーという仕事柄なのか、それとも別の何かなのか、愛にはまだわからなかった。


「何を考えてるの」


愛の方を見ずに不意に聞かれて、愛は驚いた。


「べ、別に何も」

「また心の声と違う」

「先生、それ、癖ですよね。ここはカウンセラー室じゃありません」

「キミが顔に出しすぎるんだよ」


早坂はグラスをカウンターに置いて、愛の方に身体を向けた。


「張り込み、どうだった?」

(あ、なるほど)


その瞬間、愛は早坂が食事に誘った理由がわかった。


(私のことを待っていたんだ。鳴海さんか誰かに頼まれて)

「何もありませんでしたよ、婚約者が帰ってきたので私たちも撤退しました」

「そう」

「はい」

「お姉さんのこと、不安だったね」


愛は手の中のグラスを見つめた。


「……まあ」

「強がらなくていいのに」

「強がってなんか」

「怖くなかった?」
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