傲慢すぎる警視に衛られて愛される
この2人のやりとりを見ていた人物がいた。

逢坂だ。

コンビニの袋を片手に提げたまま、足が止まる。

街灯の下で愛と早坂が抱き合っていた。

逢坂は動けなかった。

足を地面からでてきたつるにからめとられたように、しばらく、その場に立ったままだった。

コンビニの袋が、手の中でわずかに軋む。

早坂が愛をゆっくりと離すのが見えた。

2人が向かい合って、何か話している。

距離が遠くて声は聞こえない。

聞こえなくていいと思った。

早坂が歩き出した。

早坂は手だけを振って角を曲がった。

愛がその場に立ちすくんでいる。

逢坂はそれを見ていた。

しばらくして愛がゆっくりと歩き出し、マンションのエントランスに消えていった。

夜道に、人影がなくなった。


(あいつ、こんな時に恋愛ごっこかよ)


逢坂は舌打ちした。

視線を前に戻し歩き出す。

さっき見たものを頭の中で整理しようとした。

早坂が愛を抱いていた。


(早坂も早坂だ! 仕事とプライベートの区別くらいつけろよ。だいたい今まで警察関係者には手を出さなかったくせに、めんどくせぇことを)


逢坂は歩き続けた。

タイミングよく信号が青に変わる。

渡りながら、なぜかコンビニで買ったものを全部返してきたくなった。


(胃がむかむかして食欲がない)

「あ~うぜぇ!」


逢坂は立ち止まり、片手で頭を搔きむしった。
< 75 / 164 >

この作品をシェア

pagetop