傲慢すぎる警視に衛られて愛される
車に戻ると愛は奈美を後部座席に座らせた。

奈美が膝の上で手を組み、俯いている。


「飯田さん、今日呼び出されたのは初めてですか?」


奈美がわずかに首を振った。


「……何度か」

「そうですか」


愛はゆっくりと聞いた。


「来るのが怖かったですか」


奈美が少し間を置いてから、小さく頷いた。


「でも……来ないともっと怖いから」

「会社に来ると言われたんですね。実際に来たことは?」

「ありません。でも会社にはストーカー被害に遭ってることは言っていないし、私は契約社員なので……知られたくなくて」


愛は手元の資料を見つめる。

交際していた期間が2人にはあった。

元恋人同士ということだ。


「彼とは、どのくらいの付き合いですか」

「3年です」

「別れを告げたのはいつですか?」


この内容は記載されていたが、愛はもう1度、確認した。

彼女の今の気持ちを知りたかったからだ。


「半年前です。でも、彼は別れたと思っていないみたいで」


奈美の手が震えた。


「怖いですよね」


愛が奈美の手にそっと触れた。

奈美の目に涙が浮かんだ。


「私が……悪いんですかね」

「違います」


愛はきっぱりと言った。


「飯田さんは何も悪くない」

「でも、付き合っていたのは本当で、私が別れを告げて」

「だからといって、こんな目に遭っていい理由にはなりません」


奈美が顔をあげて愛を見つめた。

その時、窓をノックされた。

窓を開けると逢坂が屈みこんだ。


「今から三浦の部屋に行ってくる」

「1人で大丈夫ですか?」


逢坂が鼻で笑った。


「俺を誰だと思ってる」


それだけ言うとスタスタと逢坂はマンションの方へ向かって行った。
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