傲慢すぎる警視に衛られて愛される
マンションのリビングは穏やかな明かりに包まれていた。

美憂が愛の前に紅茶を置いて、向かいに座った。

ここは美憂の婚約者のマンション。

婚約者の江森圭太(えもりけいた)は仕事で不在だ。


「急に……ごめんね」

「来てくれて嬉しいよ」


美憂が穏やかに微笑んだ。

濃いめの化粧の下に傷跡は見えない。

愛はふとカーテンの閉まった窓に目をやった。


「あ、ごめん。開けた方がいい?」

「ううん、平気」

「ひとりだと、怖くてね。開けられないの」


愛は拳を握った。


「……お姉ちゃん、ずっと苦しんでるよね。ごめん、何もできなくて」


美憂が首を振った。


「私は大丈夫。もう……慣れたから」

「慣れちゃダメだよ! そんなの!」


美憂が戸惑ったように愛を見た。


「なんで、お姉ちゃんが怯えて暮らさなきゃいけないの。どうして、何も悪くないお姉ちゃんが――」


言葉が続かなかった。

愛の頬を、涙が伝った。

必死に手で拭ったが、止まらなかった。

美憂がそっとハンカチを差し出した。


「愛……あなたも苦しかったよね」
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