無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 アルファールの王都には白亜の塔がある。優れた魔法使いだけを集めた世界最高峰の魔法機関――魔法庁だ
 その最上階の執務室で、一人の男が苛立ちに満ちた目で部下を見据えていた。魔法庁トップのダリウス・クロウウェル──アルファール最高の天才魔法使いと名高い男だ。

「まだ見つからないのですか?」
「はい。申し訳ございません」

 部下は所在なさげに頭を下げる。

「謝罪の言葉を聞きたいのではありません。私は、いつになったら私のフォシニを捜し出せるのかと聞いているのです」
「全力で探してはいるのですが──」

 ダリウスは白髪の混じる黒髪をかき上げつつ、黒い目を眇める。年齢が五十を超えても整った顔立ちはなお冷たく端正で、他者を圧倒する威圧感がある。

「話になりませんね。彼が失踪してからどれくらいだったと思っているのです? もう110日です。110日もの間、あなた達は一体何をしていたのですか?」

 ダリウスは穏やかな、けれど目だけは決して笑っていない表情で、部下に問い掛ける。部下は「その……」と言ったまま。口ごもった。

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