無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
「全科目満点、歴代一位の成績ですか。一撃で、上級試験官の結界を貫通? しかも、無詠唱……」

 通常では考えられない結果だった。既に王宮魔術師として活躍している者が今採用試験を受けても、ここまでの成績は取れないだろう。

「試験官たちも驚いておりました」
「名前は……レイ? 聞いたことがありませんね」

 魔法使いの適性がある者は、圧倒的に貴族出身者に多いが、名字がないこの若者は平民なのだろう。
 ただ、平民であろうと優れた魔法使いの適性がある時点で何かしら噂になるものだ。一度も名前を聞いたことがないというのは奇妙だった。

(本名ではないのか?)

 ダリウスの視線が、鋭くなる。

「とても興味深い受験生ですね。是非直接会ってみたいので、ここに連れてきてもらえますか?」
「それが、試験合格にもかかわらず、内定を辞退してしまいまして」

 部下は申し訳なさそうに眉尻を下げる。

「辞退?」

 ダリウスは眉を寄せる。彼らは王宮魔術師になるために採用試験を受けているはず。それなのに、辞退というのは解せない。

「理由は?」
「一緒に受けた応募者が落ちたので、自分も辞退すると──」
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