無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
「いいえ。フォシニから魔力を貰わずに参加したようでして、魔法を全く使えていませんでした。全応募者中最下位です」
「それも奇妙ですね」

 王宮魔術師の採用試験ならば、魔法の実技があることは当然予想できるはず。それなのにフォシニから魔力を貰わずに参加するなど、はなから受かろうという気がないとしか思えなかった。
 考えられるのは自分のフォシニを王宮魔術師にしようとしたということだが、肝心の男は受かったのに採用を辞退している。やっていることがちぐはぐだ。

 ダリウスはゆっくりと宙に視線を投げる。

「非常に興味深い」

 一体なんのつもりで、彼らはそんなことをしたのだろうか。

「調べてください」
「……はい?」
「採用辞退した男の素性と、リディア・グリーンとの関係性を。徹底的に、ですよ?」

 部下は一瞬だけ戸惑った表情を見せたが、すぐに頭を下げる。

「承知しました」

 部下が退室し、扉が閉まる。
 ひとりになったダリウスは、再び書類に視線を落とした。




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