無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 ドアを開けると、元気よく声をかける。店の奥で読書をしていたシリルはゆっくりと顔を上げた。

「リディアにレイ? 今日は休みなのに、どうした?」
「薬の納品で町に来たついでに寄りました。レイの印紋のことで相談があって」
「印紋? まだ消えないのか?」

 シリルは訝しげな顔をする
 リディアはレイに、印紋をシリルに見せるよう促した。レイはシャツを捲り、脇腹が露わになる。

「……確かに、薄くはなったが消えてないな」

 シリルの眉間に、深い皺が寄る。

「レイには合計五回、印紋を消すための解呪の魔法をかけた。それだけしたのに今の段階で消えていないってことは、これ以上薄くするのは無理だ。おそらく、術者が俺よりも優れた魔法使いだってことだ。複数回にわたって施した解呪の術を打ち消して、刻印を維持しようとするくらいだからな」
「師匠より優れた魔法使い?」

 リディアは信じられず、聞き返す。

 シリルは平民にもかかわらず王宮魔術師のトップ争いをしたほどの魔法の使い手。そんな彼より優れた魔法使いなど、この国に数えるほどしかいないはずだ。

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