無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 黒装束の男の剣が自分に向かって飛んできたそのとき、カキンと音が響いて男の剣が弾き飛ばされた。レイが魔法で助けてくれたのだ。

「リディア、立って!」

 レイが叫ぶ。

(立たなきゃ)

 必死に立ち上がったのと同時に、空気が歪む。
 レイの魔法によって体が強い風に包まれて、リディアは森の中に吹き飛ばされた。

「女が!」
「逃がすな!」

 遥か遠くで、男たちが叫んでいる声がする。

「に、逃げなきゃ。私がいるとレイの足手まといになる」

 レイがリディアを飛ばしたのは、リディアが攻撃されないようにだろう。リディアは必死に立ち上がると、森の奥へ向かって夢中で走る。
 息が切れ、枯葉や枝で何度も転びそうになった。

「なんで? どうして? どうしてレイが命を狙われるの?」

 そもそもあの黒装束の連中は何者なのか。
 訳が分からないまま、必死で走った。

 だが、限界はすぐに来た。
 木の根に躓き、地面に倒れ込む。

「……っ!」

 膝を擦りむき、血が出る。それでも立ち上がろうとすると、足首に鋭い痛みを感じた。

(ひねった?)

 立ち上がろうとするが、力が入らない。
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