無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 そのとき、背後かかさっと枯葉を踏む足音がした。
 
 リディアはハッとして、振り返る。黒装束の男がひとり、近づいてくる。

(私、死ぬの?)

 無言のまま剣を構える黒装束の男が剣を振り上げた瞬間、死を覚悟する。
 そのとき――

「――リディアに近づくな」

 低い声が聞こえ、同時に男の体が弾け飛ぶ。
 男は生えていた大木に体を叩きつけられ、地面に落ちるとそのまま倒れて動かなくなった。死んでいるのか、気絶しているのか、どちらかはわからない。

「リディア、大丈夫? 多分、目についた奴は全員処分したはずだけど──」

 呆然とするリディアをレイが覗き込む。レイの顔を見た瞬間、緊張の糸が切れた。

「……レイ!」

 リディアは思わずレイに抱きつく。

「レイ、無事でよかった」

 レイは強い。魔法の腕前も天才的だし、魔力も豊富だ。
 それでも、あんなに大人数を相手にしては助からないかもしれないと覚悟した。

「リディア? 泣いているの」

 戸惑ったようなレイの声。

「レイが死んじゃうかと思った」
「死なないよ。まだリディアと一緒に居たいもん」
「うん……」

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