無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 レイはそれでも泣き続けるリディアの背中に手を回すと、あやすように触れた。


 
 その夜、リディアとレイは森の中で一夜を明かすことにした。元の場所に戻って、また新たな追手が現れることを警戒したのだ。
 見つからないようにするために焚き火を熾すこともできない。夜の森は気温が下がり、肌寒さを感じた。

「リディア、寒い?」

 ぶるっと震えるリディアに気付いたようで、レイが心配そうにリディアを見つめる。

「平気よ」
「嘘。震えてる」

 レイは着ていた上着を脱ぐと、それをリディアにかける。

「レイ! これじゃあ、レイが風邪ひいちゃう」
「俺は大丈夫」
「大丈夫じゃないわ!」
「うーん」

 レイは少し考えるような様子を見せる。

「じゃあ、リディアがもっとくっついてくれたら温かいな」

 木の幹に寄りかかって座るレイは、自分の足の間にリディアを座らせて後ろから抱きしめる。

「ほら。温かい」

 レイの吐息が耳にかかった。

(確かに温かいけど──)

 距離が近い。近すぎやしないだろうか。
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