無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 レイに後ろから抱きしめられたことなど何回もあるのに、なぜか今日は胸がドキドキしてしまう。
 広い胸も、この腕の力強さも、リディアにはないものだ。

(静まれ、私の心臓!)

 リディアにとって、レイは弟のような存在。その弟にこんなふうにドキドキするなんて、間違っている。


 リディアは平静を取り戻そうと、レイから少しだけ離れる。すると、お腹に回ったレイの腕によってまた引き寄せられてしまった。さっきよりより一層、体が密着する。

「リディア」

 低く、囁くような声。

「レ、レイ……離れて」
「やだ。お願いだから、俺から逃げないで」

 その言葉に、胸が締めつけられる。

「逃げないわよ」

 安心させるように告げると、レイの腕に力が籠った気がした。


 ◇ ◇ ◇

 翌日。太陽がしっかりと上った時刻になってから、リディアは恐る恐る自宅へと戻る。誰かが待ち伏せしていたらどうしようかと不安だったが、それは杞憂だった。

 住み慣れた部屋に戻ったリディアは、レイのほうを振り返る。

「レイ。服を脱いで」
「え?」

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