無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
塗り薬を手に取り患部に触れると、男の体がびくんと揺れた。
「この薬、よく効くから安心して。私の手作りなの」
「あんた、薬屋なのか?」
「ええ、そうよ」
「ひとり暮らし?」
「ええ」
リディアは頷く。
二十二歳の時に親から勘当されて以来、薬屋として生計を立て始めて早五年がたった。勘当の原因は、一人前の魔法使いとしてフォシニを持つようにと命じる父──グリーン子爵に対して、リディアが反発したからだ。
この国で魔法使いの素養を持つ人間はわずか1割に留まり、その中でも自分自身が潤沢な魔力を持つものはほとんどいない。いくら魔法使いの素養があっても、魔力がなければ魔法は使いこなせない。だからこそグリーン子爵はリディアにフォシニを持つようにと強く迫った。
そして、遂には痺れを切らし、フォシニを持たないならば家から勘当すると言われたのだ。
グリーン子爵家は貴族の中でも優れた魔法使いを輩出することで有名な名家。父にとって、娘がフォシニを持たず魔法のつかえない『無能魔女』であることは許せなかったのだろう。
「この薬、よく効くから安心して。私の手作りなの」
「あんた、薬屋なのか?」
「ええ、そうよ」
「ひとり暮らし?」
「ええ」
リディアは頷く。
二十二歳の時に親から勘当されて以来、薬屋として生計を立て始めて早五年がたった。勘当の原因は、一人前の魔法使いとしてフォシニを持つようにと命じる父──グリーン子爵に対して、リディアが反発したからだ。
この国で魔法使いの素養を持つ人間はわずか1割に留まり、その中でも自分自身が潤沢な魔力を持つものはほとんどいない。いくら魔法使いの素養があっても、魔力がなければ魔法は使いこなせない。だからこそグリーン子爵はリディアにフォシニを持つようにと強く迫った。
そして、遂には痺れを切らし、フォシニを持たないならば家から勘当すると言われたのだ。
グリーン子爵家は貴族の中でも優れた魔法使いを輩出することで有名な名家。父にとって、娘がフォシニを持たず魔法のつかえない『無能魔女』であることは許せなかったのだろう。