無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 結果としてリディアはグリーン子爵家から追い出され、今は薬屋として細々と暮らしている。植物から摂取できるわずかな魔力を頼りに魔法を練りながら調合するリディアの薬の評判は上々で、ありがたいことによく売れている。

 薬を塗り終えると、清潔な包帯やガーゼで患部を覆った。

「はい。出来たわよ。これを着て」

 リディアは今日買ったばっかりの服を男に差し出す。
 男はそれをじっと見つめた。

「どうしたの? デザインが気に入らなかった?」
「フォシニの契約はしないのか? あんた、魔法使いだろ? 薬から魔力を感じる」

 それを聞いて、意外に思った。リディアの魔力は本当に微々たるものしかないので、これを感じ取れるなんて、と驚いたのだ。

「しないわ。私にフォシニはいらない」
「……どうして」

 かすれた声で男が聞き返す。

「どうして、俺を買った?」

 リディアは少し考えてから、答える。

「放っておけなかったから」

 放っておけない。それ以上でも、それ以下でもなかった。
 気づいた時には、札を上げていたのだから。

「変な奴……」
「なんですって? 服、いらないならあげないわよ」
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