無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 その〝誰か〟であればレイの刻印を消すことができるのに、と思わずにはいられない。
 リディアは刻印を覆うように手で撫でる。そして、手を離して驚いた。

「……あれ? 薄くなってる?」

 たった数秒の間に、レイの刻印は明らかに薄くなっていた。ほぼ消えているといってもいいかもしれない。

「なんで⁉」

 驚いたリディアは、すぐにレイを連れてシリルのもとに向かった。
 リディアはシリルに、自分が手をかざしたら刻印が薄くなったことを説明する。

「……なるほどな。確かに消えてるな」

 話を聞いて刻印があった位置を確認したシリルが腕を組む。

「私、実は師匠を超える魔法使い──」
「それはない」

 全部言い切る前に、ぴしゃりと否定される。

「わかってますよ。そんなに強く否定しなくても──」

 リディアは肩を竦める。
 リディアが魔法でできることなんて、薬の調合ぐらいだ。王宮魔術師試験でもほとんど点数を取れずに落ちたのだから。

「じゃあ、なんで薄くなったんでしょう?」
「……これは推測でしかないが」

 シリルはリディアを見る。

「お前の力だな」

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