無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 リディアは目を瞬かせ、自分の後ろを振り返る。誰もいない。

「お前って?」
「リディアだよ」
「んん?」

 思わず気の抜けた返事をしてしまった。
 さっき、リディアがすごい魔法使いであるという可能性を完全否定したのはシリルだ。

「すごい魔法使いとかそういうんじゃなくて、お前の特技だろ。魔力調和」
「魔力調和、ですか……」

 魔力調和とは異なる性質を持つ魔力をうまく混ぜ合わせる技術のことで、リディアが薬を作る際にいつもやっているものだ。これをうまくやらないと、それぞれの持つ魔力がお互いに悪い方向に作用してしまい、効果が十分に発揮でされない。

 リディアが得意とする、唯一の魔法だ。

「おそらく、リディアが触れたことでレイと俺、それに印紋の術者の魔力がうまく混じり合ったんだ。それで、消しきれなかった印紋まで解呪の効果が行き届いて消えた」
「ふえー! そんなことって起きるんですか⁉」
「実際に起きたんだ。無意識でやってるんだろう。リディアは昔から、そういうところがあったしな」

 リディアは言葉を失った。

(私がそんな力を持っているなんて)

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