無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
「いる」
男は首を横に振る。
「じゃあ、早く着て」
リディアは男に上着を被せた。男はそれを着ると、リディアを見つめる。
「変な奴だけど、嫌いじゃない」
ほんの少しだけ、男の口角が上がる。
「それはどうもありがとう」
初めて見せる男の笑顔に、リディアも微笑んだ。
リディアはサイドボードに置いた財布の中をもう一度確認する。残るお金は130キャラットだ。そこから、100キャラットを手に取った。
「はい、これ」
硬貨を差し出された男は不思議そうにそれとリディアの顔を見比べる。
「もう傷の手当もしたし、拘束用の首輪も外したし、靴と洋服も買ってあげたわ。あなたは自由よ」
男は黙ったままだ。その黒い瞳からは、何の感情も読み取れなかった。
「あなた、自由よ」
リディアは重ねて言う。
「好きなところへ行きなさい」
差し出されたままの硬貨を見つめていた男は、しばらくしてからおもむろに口を開く。
「……行くあてがない」
「好きな場所に行けばいいのよ。行ってみたい場所、ひとつくらいあるでしょ?」
「ない。ずっと屋敷の地下にいたから」
男は首を横に振る。
「じゃあ、早く着て」
リディアは男に上着を被せた。男はそれを着ると、リディアを見つめる。
「変な奴だけど、嫌いじゃない」
ほんの少しだけ、男の口角が上がる。
「それはどうもありがとう」
初めて見せる男の笑顔に、リディアも微笑んだ。
リディアはサイドボードに置いた財布の中をもう一度確認する。残るお金は130キャラットだ。そこから、100キャラットを手に取った。
「はい、これ」
硬貨を差し出された男は不思議そうにそれとリディアの顔を見比べる。
「もう傷の手当もしたし、拘束用の首輪も外したし、靴と洋服も買ってあげたわ。あなたは自由よ」
男は黙ったままだ。その黒い瞳からは、何の感情も読み取れなかった。
「あなた、自由よ」
リディアは重ねて言う。
「好きなところへ行きなさい」
差し出されたままの硬貨を見つめていた男は、しばらくしてからおもむろに口を開く。
「……行くあてがない」
「好きな場所に行けばいいのよ。行ってみたい場所、ひとつくらいあるでしょ?」
「ない。ずっと屋敷の地下にいたから」