無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 リディアはひゅっと息を呑む。一体この男は、どんな仕打ちを受けながら生きてきたのだろうか。想像するだけで、胸が痛んだ。

「どうやってひとりで生きていけばいいか、わからない」

 その言葉は、あまりにも淡々としていた。
 返す言葉がみつからず、リディアは言葉に詰まる。

「……そう」

 ふたりの間に沈黙が訪れる。

(どうしよう。追い出す? でも、そんなことしたらこの人、行き倒れになって死んじゃうかも)

 本当に厄介な男を買ってしまった。けれど、彼を買うと判断して行動したのはリディア自身なのだ。
 リディアは覚悟を決め、深いため息をつく。

「……仕方ないわね」

 リディアは覚悟を決める。

「しばらく、ここにいなさい。自分で生きるすべを身に付けるまで」

 親から勘当されて実家を追い出されたとき、リディアには支援して生きるすべを教えてくれる人がいた。けれど、彼には誰もいないのだ。
 ならば、責任をもって彼に生きるすべを教えるのは自分の役目だと思った。

「いいのか?」
「いいも何も、あなたを放り出して野垂れ死にされたら寝覚めが悪いもの」

 リディアはふうっと息を吐く。

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