無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
「じゃあ、どうしてそんなこと言うの」

 聞いたことがないような低い声で問いかけられ、それ以上言葉が続かない。
 鋭い眼差しには、明確に怒りの色が見えた。

(どうしよう。すごく怒っているわ)

 こんなレイを見るのは、初めてだった。

「私はただ、あなたのためを思って」
「俺のため?」

 レイはハッと笑った。

「なんで俺のためを思うとそんな言葉が出るの? 俺がいたいなら、ずっとここにいていいって言っただろ」

 どこか泣きそうなレイの表情を見て、胸がぎゅっと押しつぶされそうな痛みを感じる。
 リディアはレイの視線から逃げるように、彼から目を逸らした。

「たまに帰って来たくなったら、いつでも来ていいわよ。だって私、レイのことを本当の家族みたいに思っているもの」

 作り笑いを浮かべて、リディアは努めて明るく言い放つ。

「本当の家族?」
「ええ。レイのことは弟みたいに大切に思ってる」

 次の瞬間、ぐいっと腕を引かれた。

「きゃっ……!」

 あっと言う間に視界が反転する。
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