無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 リディアは慌てて卵焼きを皿に移す。若干焦げているが、リディア的判定では食べられる範囲内なのでホッと胸をなでおろした。

 その後、スープをよそってパンを並べ、リビングの奥にある扉のほうを振り返る。

(レイは……)

 レイの部屋の扉をそっと開けて中を覗くと、彼はまだベッドの上で横たわっていた。

(寝てる?)

 レイはいつも朝寝坊で、リディアが起こしに行ってようやく起きる。今日に限っては、それがありがたかった。一体どんな顔をしてレイと顔を合わせればいいのか、わからなかったのだ。

「綺麗な顔」

 高い鼻梁に、深い堀。長いまつ毛はいつの間にか髪の毛と同じ銀色に変わっている。

 そのとき、急に手が伸びてきて腕を強く引かれた。バランスを崩したリディアはレイのベッドに倒れ込む。すぐさま腹部に腕を回され、ぐいっと体を引き寄せられた。

「リディア、おはよう」
「レ、レイ? 起きてたの?」
「リディアが来た気配で今起きた」

 レイは後ろからリディアをぎゅーっと抱きしめると、首筋に顔をうずめる。吐息が敏感なところに当たり、リディアは身を捩る。

「レイ。離して」
「やだ。離さない」

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