無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
「今日はもう店を閉めよう。レイがここで働いていることを知っている客は多い。その中に、情報を売る奴がいても不思議じゃないからな。……あと、リディアの家も危ないかもしれない。不便だとは思うが、暫くの間帰らないほうがいい」
「そうですね」

 胃がぎゅっと痛くなる。
 この国は、ただでさえフォシニに対して厳しい。
 もしレイが反逆罪で捕らわれたら、彼らは何の躊躇もなくレイの命を奪おうとするだろう。

(絶対にそんなことさせないわ)

 リディアはぎゅっとこぶしを握った。
 

   ◇ ◇ ◇


 店を閉めたあと、シリルはすぐに魔法庁に向かった。白亜の塔を見上げる。ここに来るのは、王宮魔導士をやめて以来だ。
 
 建物に入ると、中はシリルが働いていた頃と変わっていなかった。魔力によって上下に移動する箱に乗って上階へと向かうと、上から三つ目の階で降りる。

「カーティス、いるか?」

 カーティスの執務室のドアの前で、中に向かって話しかける。
 すると、勢いよくドアが開かれた。

「シリルさん、どうしてここに⁉」
「お前に話があったからに決まっているだろ。これはどういうことだ」

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